コールドドラフトの原因や7つの対策を分かりやすく解説
暖房をつけているはずなのに「足元が冷える」「部屋の空気が冷たい」と感じた経験はありませんか? 部屋がなかなか暖まらないと、暖房の故障や劣化を疑ってしまいがちですが、もしかしたらそれは「コールドドラフト」が原因かもしれません。 部屋が暖まらない原因を知らずに、暖房の設定温度を上げたり、新しい機器に買い替えたりすると余計なコストがかかってしまいますので、コールドドラフトについて正しい知識を学んでおきましょう。 今回は、コールドドラフト現象に関する基礎知識と、発生する原因、有効な対策方法について解説します。
そもそもコールドドラフトとは?
コールドドラフト(cold draft)とは、英語で「すきま風」を意味する言葉です。 すきま風というと、立て付けの悪いドアや窓のすき間から吹き込んでくる風というイメージがある方が多いかもしれません。しかし、ここでいう「コールドドラフト」とは、暖かい空気に押し出された冷たい空気が足元に流れる現象のことです。 「すきま風」という名前から、外から直接冷たい風が吹き付けているイメージを持ちがちですが、実際は室内の冷たい空気が下方に降りてくることによって発生します。
コールドドラフトが発生するメカニズム
コールドドラフト現象が発生するメカニズムには、空気の重さが関係しています。 空気は暖かくなるほど体積が大きくなる性質を持っており、同じ大きさで比べると暖かい空気の方が冷たい空気よりも軽くなります。 そのため、冬場にエアコンやヒーターを使っていると、暖められた空気はどんどん上昇し、天井付近に溜まっていきます。
一方、室内の冷たい空気は、上昇する暖かい空気に追いやられる形で、どんどん下に降りていってしまいます。 その結果、部屋は暖かい空気の層と冷たい空気の層の2層に分かれ、「暖房をつけているのに足元が冷える」という状態になります。これがコールドドラフト現象です。
一方、室内の冷たい空気は、上昇する暖かい空気に追いやられる形で、どんどん下に降りていってしまいます。 その結果、部屋は暖かい空気の層と冷たい空気の層の2層に分かれ、「暖房をつけているのに足元が冷える」という状態になります。これがコールドドラフト現象です。
暖かい空気が逃げると同時に、外から冷たい空気が入り込んでいるので、然るべき対策を行わないと、コールドドラフト現象が繰り返し発生することになります。 エアコンやヒーターの設定温度を上げたとしても、コールドドラフトを根本から抑えないと、足元の冷えに悩まされ続ける原因となります。 エアコンやヒーターの温度を上げると、そのぶん電気代もかかりますので、エコで快適な生活を送るためには、コールドドラフト対策は必須といえます。
[注1]国土交通省:なるほど省エネ住宅
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/shoenehou_assets/img/library/naruhodosyouenejuutaku.pdf
コールドドラフトが発生する原因
コールドドラフトはどんな家にも起こり得る現象ですが、特に以下のような特徴を持つ住宅はコールドドラフトが発生しやすいといわれています。
1.窓の断熱性が低い
先ほど紹介した国土交通省の資料データからもわかる通り、最も室内の熱を逃がしやすいのは、開口部である窓です。 熱の流出割合は全体の約6割と高く、室内の暖かい空気のほとんどが窓から逃げているといっても過言ではありません。 最近は断熱性の高い複層ガラスを採用した住宅が増えていますが、昔ながらの一枚ガラスを使用した窓を使用している住宅は、暖かい空気が逃げやすく、かつ冷たい外気が入り込みやすいので、コールドドラフトが発生しやすくなります。
2.吹き抜けやリビング階段がある
おしゃれなデザイナーズ住宅でよく見られる吹き抜けやリビング階段は、部屋に開放感が生まれるほか、家族のコミュニケーションを取りやすいなど、いろいろなメリットがあります。一方で、暖かい空気が天井や2階に上昇しやすく、コールドドラフトが起こりやすい構造でもあります。
コールドドラフトを防ぐ7つの対策
コールドドラフトの発生を防ぐポイントは、大きく分けて2つあります。 1つは、最も熱が逃げやすい窓の断熱性を高めること。もう1つは、上方にたまった暖かい空気を下に降ろすことです。 この2つのポイントを踏まえ、室内でコールドドラフトの発生を防ぐための対策を7つご紹介します。
1.窓に断熱シートを貼る
断熱シートとは、ポリエチレンなどの素材で作られたフィルム状のシートのことです。 窓の全面に断熱シートを貼り付けると、窓とシートの間に空気層が作られ、室内の暖かい空気が逃げにくくなると同時に、冷たい外気の侵入を防ぐ効果を期待できます。 断熱シートは窓のサイズに合わせて自由にカットできるので、手軽に窓の断熱性を高められるところが特徴です。 ただし、ガラスの表面に特殊な加工が施されている窓の場合、断熱シートを貼り付けると、温度変化によってガラスが割れる「熱割れ現象」を引き起こす可能性があります。 一例として、熱射反射ガラスや、網入りガラス、真空二重ガラスなどの表面には、断熱シートを貼らないよう注意しましょう。
2.窓のサッシにすき間テープを貼る
室内の熱の大半が窓から逃げるのは、サッシのわずかなすき間から空気が出入りしてしまうためです。 ホームセンターや100円ショップなどで販売されているすき間テープをサッシ部分に貼り付けておけば、すきま風の侵入や熱の放出を抑えることができます。 すき間テープを貼るときは、窓の開け閉めに支障が出ないかどうか確認しながら貼り付けるようにしましょう。 また、サッシ部分が汚れた状態でテープを貼ると、すぐにテープが剥がれたり、カビが発生したりする原因になります。そのため、事前に窓枠の周辺をきれいに清掃しておくことをおすすめします。
3.断熱カーテンを取り付ける
カーテンのなかには、特に断熱性に優れた商品も存在します。通常のカーテンに比べると熱を通しにくいしくみになっているため、カーテンをぴったり閉じていれば、コールドドラフトの発生を抑えることができます。 なお、断熱カーテンは窓枠の下まですっぽり覆い隠さないと効果が半減してしまいますので、ジャストサイズよりもやや丈の長いカーテンを選ぶのがおすすめです。 光を遮らないレースの断熱カーテンを取り付ければ、夜間だけでなく、日中の断熱効果もアップできます。
4.雨戸やシャッターを下ろす
雨戸やシャッターは本来、暴風雨などを防ぐために設置するものですが、冷たい外気から窓を守る効果も期待できます。 就寝前に雨戸やシャッターを閉めておけば、特に気温が下がる夜間~朝方にかけての冷たい外気の侵入をブロックできるので、コールドドラフトの発生防止につながります。 ただ、昼間は日光を遮断してしまいますので、日中は他の方法でコールドドラフト対策を行う必要があります。
5.窓下にパネルヒーターを設置する
低温度の熱が発せられるパネルヒーターを窓下に設置しておくと、窓から入り込む冷たい外気や、窓によって冷やされた空気を暖めることができます。 寒さの厳しい北欧でも採用されている対策法で、あまりスペースを取らず、インテリアの邪魔にもならないところが利点です。 最近は、窓枠の下に設置できるバータイプの窓下ヒーターも販売されており、より簡単に窓際の冷え対策を行うことが可能です。 どちらも断熱シートに比べるとやや割高ですが、壊れるまでは何度でも使えるので、特に寒い地域に住んでいる方におすすめです。
6.サーキュレーターを活用する
コールドドラフトは暖かい空気と冷たい空気が2層になっていると起こりやすい現象なので、サーキュレーターを使って室内の空気を循環させれば、コールドドラフトの発生率を抑えることができます。 おすすめのサーキュレーターの置き場所と向きは、大きく分けて2通りあります。 まず1つ目は、エアコンなどの暖房機器の対角線上に設置する方法です。サーキュレーターはエアコンの方を向けておくと、エアコンから送られた暖かい空気がサーキュレーターの送風によって部屋全体を巡るようになります。
2つ目は、部屋の中央に設置する方法です。 サーキュレーターは真上に向けておくと、天井付近にたまった暖かい空気が下に降りてきやすくなります。 「送風なら扇風機でも良いのでは?」と思うかもしれませんが、近距離かつ広範囲に柔らかい風をあてることを目的としている扇風機に対し、サーキュレーターは遠方に直線的な風を送ることを目的とした製品です。 扇風機に比べると、より効率的に部屋全体の空気を循環させることができるので、コールドドラフト対策にはなるべくサーキュレーターを活用するようにしましょう。
7.断熱性の高いガラスに取り替える
最近の住宅であれば、ペアガラスを初めとする複層ガラスが採用されていることがほとんどです。しかし、築年数がかさんだ古い住宅では、未だに一枚ガラスが取り付けられているケースもあります。 一枚ガラスは外気の冷たさがダイレクトに伝わりやすいため、せっかく暖めた空気が急速に冷やされてしまいます。 一枚ガラスを複層ガラスに取り換えるのにはそれなりの費用がかかりますが、断熱効果がアップすれば暖房効率も向上し、光熱費の節約にもつながります。 現在の住宅に長く住む予定があるのなら、今後の快適性や省エネ性を考慮し、複層ガラスへの取り替えを検討してみるのもひとつの方法です。
まとめ
寒い季節は、暖かい空気に追いやられた冷たい空気が足元に流れ込む「コールドドラフト現象」が起こりやすい時期です。 コールドドラフトが発生すると、冷たい空気が足元に停滞し、エアコンや暖房をつけても冷えに悩まされる原因となります。 コールドドラフトは窓の断熱性が低い住宅ほど発生しやすい傾向にありますので、断熱カーテンや断熱シート、パネルヒーターなどのアイテムを上手に活用し、室内の断熱性を高めましょう。 あわせて、サーキュレーターを使って空気を循環させると、天井付近にたまった暖かい空気が部屋全体に行き渡るようになり、暖房効率が向上します。 なお、窓に一枚ガラスを使用している場合は、ペアガラスなどの複層ガラスに交換すると、断熱効果を大幅にアップさせることができます。 駆けつけガラスの緊急隊では、一枚ガラスから複層ガラスへのリフォームを承っています。 「断熱ガラスにしたい」「暖房効率を上げたい」など、さまざまなニーズに対応したガラス交換を提案いたしますので、コールドドラフト現象にお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。