【空き巣】泥棒被害の場合、火災保険が使えます。

空き巣被害に遭ったことがない人の多くは、空き巣は自分にはあまり縁のないものと考えているかもしれません。確かに、世界的にみた日本の治安は非常に良く、今でも田舎では施錠をせずに外出しても何の被害もないというところもあります。
　しかし、確かに犯罪は毎日起こっています。警察庁のデータによると、戦後に犯罪件数が最悪となったのは平成14年ことであり、285万3739件を記録しました。平成15年からは毎年連続で減少傾向にあり、平成26年のデータでは121万2240件となっています。住宅に対する侵入窃盗も減少傾向にあるものの、依然として多数の被害が発生しているのが現状です。
　侵入窃盗の認知件数も、平成15年以降は減少傾向にあり、平成26年は93566件（前年比-12.8％）となりました。このうち住宅対象侵入窃盗は48120件となっています。こちらも平成16年以降連続して減少しています。しかし、この数値は果たして多いか少ないかということですが、一日当たり約132件の被害が発生していることを考えると、決して少ないとは言えないでしょう。そして、侵入窃盗の様々なケース（空き巣、忍込み、居空き、事務所荒らし、出店荒し）のうち、空き巣被害は最も多く、その割合は36.5％を占めています。このように、空き巣被害は決して他人事ではありません。誰もが被害に遭う可能性を秘めています。また、空き巣ならば物を盗られるだけで済みますが、それが侵入強盗であることも考えられます。侵入強盗に伴う強盗殺人、強盗致傷、強盗強姦などの認知件数は、平成26年は198件となりました。
　では、窃盗犯たちはどの様な手口で侵入してくるのでしょうか。手口にはガラス破り、雨戸外し、2階からの侵入などが考えられますが、この中でも断トツで多いのがガラス破りです。一戸建て住宅を対象としたデータでは、ガラス破りによる窃盗被害が63.3％を占めています（平成20年度：警視庁生活安全総務課手集計）。ガラス破りは空き巣手段の基本であり、ガラスを割って鍵を開けて侵入するというものです。そして、狙われる窓の中でも特に多いのが掃き出し窓なのです。
空き巣被害の際にガラスが割られた場合には、火災保険の適用が可能です。

まずは、警察に被害届を提出する必要があります。これは、犯罪に遭ったからには警察に連絡すべきということもそうですが、保険会社に事故の連絡をした際に、警察に出した被害届の受理番号が必要となるからです。保険会社に提出する書類に被害届の受理番号を記入する欄が設けられています。そのため、火災保険の適用を受けるためには、警察に被害届を出す必要があるのです。

次に、ガラス店に修理を依頼します。この時に注意すべきことは、修理前の窓の状態を写真撮影することで、全体と割れた個所の写真を撮っておきます。保険会社に提出する資料にこの写真も含まれるため、修理前に撮影しておく必要があります。写真は携帯電話で撮影したものでもOKです。
　また、修理をしてよいか警察に確認することも忘れないようにしましょう。現場検証が終わらないとガラス修理をすることはできないため、修理に進んでよいかを警察に確認しましょう。

ガラス修理が終わったら、保険会社に連絡をしましょう。土日や夜間などに空き巣被害には連絡が取れないこともありますので、その場合には翌営業日に連絡を行います。
申請のために必要となる書類は保険会社によって異なりますが、概ね見積書、領収書、作業明細、写真（全体と割れた個所の修理前・修理後の写真）が必要となります。
代金の支払いは、一旦お客様からガラス店にお支払いただき、後日保険会社からお客様へ支払が行われるのが一般的です。もし保険会社からガラス店へ支払を行う場合には、保険会社の担当からガラス店へ連絡する必要があります。

　火災保険の適用を受けて修理をすれば、それで終わりではありません。空き巣というのは、その家の周辺の環境、生活パターン、見た目などをきっかけに犯行に至るものです。例えば、誰でも入りやすい建物である、人目に付かずに下見が出来る、留守が多い、共働きで帰宅が遅い、高級車があるなどといった要因が、空き巣被害に遭うきっかけとなっているのです。つまり、「入りやすい家」である可能性が高いのです。そのため、空き巣被害に遭ったということは、その住宅自体に空き巣に入られる原因がある場合が多く、空き巣被害を警察に報告して修理したからと言って、もう2度と空き巣被害に遭わないということはありません。むしろ、入りやすい家である以上、防犯対策を強化しなければ、再び空き巣被害に遭う可能性は高いといえるのです。
では、二度と侵入させないためには、どのようにすればよいのでしょうか。考えられるのは、防犯ガラスの設置、窓の鍵の交換、玄関や勝手口の鍵の交換です。

　最も効果的なのが、防犯ガラスの設置です。上記の通り、窓ガラスを破っての侵入が最も多く、普通のガラスならば、手慣れた空き巣は10秒程度で破ってしまいます。音もほとんどど立てずに割ることが出来るため、空き巣にとってはうってつけの侵入経路となるのです。空き巣の鉄則は「素早く行動し、素早く逃げる」ということです。つまり、手早く侵入できる普通ガラスは空き巣にとって好都合です。逆に言えば、空き巣は侵入に時間がかかる住宅を嫌がります。警視庁と都市防犯研究センターが行った調査によると、侵入に5分以上かかると諦めた割合は68.5％であり、10分では91.4%にもなります。このことから、防犯対策ではいかにして5分を稼ぐかということが重要になります。
　そこで、防犯ガラスが威力を発揮します。防犯ガラスはガラスとガラスの間に特殊フィルムを挟み込んだものであり、なかなか破ることが出来ません。なかなか破れなければ空き巣はいら立ち、見つかることを恐れて諦める確率が高くなるのです。
　防犯ガラスには色々な種類があります。例えば、弊社では防犯ガラスの一つには、日本板硝子のセキュオをおすすめしています。セキュオには厚さによって種類が別れており、0.76mmの中間膜を挿んだセキュオ30、1.52mmの中間膜を挿んだセキュオ60、2.28mmの中間膜を挿んだセキュオ90、1.2mmのポリカーボネート板と中間膜を挿んだセキュオSP、超強度の防火ガラスとフロート板ガラスの間に1.52mmの中間膜を挿んだセキュオPYがあります。後者になるほど強度は増して行きますが、価格も高くなります。これらの防犯ガラスは、ドライバーによる「こじ破り」やバールなどによる「打ち破り」に高い抵抗力を示してくれます。

防犯ガラスだけではなく、鍵による防犯も効果的です。最近では2ロック式の窓が常識になりつつあります。鍵が2つついていることや、補助錠がついていることによって、鍵が1つの場合に比べて侵入に多くの時間がかかるため、空き巣に心理的プレッシャーを与えることが出来ます。窓ガラスを破るときに大きな音を立てればまずいため、空き巣は鍵周辺のみのガラスを割って侵入することが多いのですが、補助錠を壊すために再びガラスを割る空き巣はあまりいないのです。 　鍵によって防犯性を高めるならば、防犯クレセントを設置するのが最も良いでしょう。防犯クレセントとは、暗証番号式になっていたり、クレセントの回転を阻止する金具が取り付けられたもののことです。このような鍵にしておけば、空き巣は窓をうまく破ったとしても鍵を回すことが出来ず、退却を余儀なくされます。

次に防犯を意識したいのは玄関や勝手口の鍵です。これまで書いてきたとおり、空き巣の手口として最も多いのは窓からの侵入です。しかし、鍵を開けて侵入するピッキングによる侵入も多いのです。旧式の鍵では、ガラスを破るよりも簡単に侵入できてしまう場合もあるため、玄関や勝手口の防犯対策として、ピッキングに強い鍵に交換すると良いでしょう。防犯性能の高いシリンダーに交換することによって、理論鍵違い数を格段に高めることも可能であり、ピッキングでは容易に侵入できないようにすることが可能です。